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口神酒 ~愛が生み出す酒~

最終更新: 2018年10月14日


口神酒(口噛み酒)というお酒がある。

一般的には口噛み酒と書くが口神酒とする(その意味は後述)。


口神酒とはお米などの穀物を口の中に入れ良く噛み、唾液と穀物を十分に混ぜ合わせ

それを吐き出し、自然発酵させて酒としたものである。

人間の唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれており穀物のでんぷんを分解する。

このアミラーゼによりでんぷんはマルトース(麦芽糖)という糖に分解される。

ご飯を噛んでいるとだんだんと甘く感じてくるはこのアミラーゼが働いているからである。

発酵技術が発達していない時代では人類は唾液の酵素を利用し酒を得ていたのだろう。

ここで疑問に思うのはなぜ口神酒というものが始まったのかということである。


なぜ人類は一度、口に入れたものを吐き出そうと思ったのか?

私が気になったのは口に入れた食べ物を吐き出すという行為である。

これは私の推測であるが、おそらく口に入れたものを吐き出すことを始めたのは

子を持つ母親ではないだろうかと思う。

母親が自分の子供のために、固いお米を食べやすいように自分の口で噛んで柔らかくして

吐き出したものを与えていたのではないだろうか。

そして当時、神道の文化が日本にはあり、神にも感謝の印として同じように

口の中で柔らかくしたお米を神に捧げていた。

そんな中、お供えしたお米が自然発酵しお酒に変わることを偶然発見したのではないだろうか。そんな風に思う。だから口噛み酒ではなく口神酒であると。

こう考えると口神酒は母の愛が生んだ偉大な酒である。







現代の日本ではおそらく、口神酒は衛生の面から世の中には受け入れられないだろう。

ただ、こうして経緯を考えてみるとそこには人の愛があることに気付く。

昔は身体の機能(唾液)を使い食品を発酵させていた事にはとても感心する。

現代では「人の愛」というものからどんどんと離れていっている。

例えば身近な例でいうとおにぎりがそうだ。

現代では手軽にコンビニでおにぎりが買えるが、これはお母さんが子供を

思い手で結んだものではない。

やはりおにぎりは手で米を結び、おむすびとするから美味しい。

味が全然違う。お寿司も同様である。

寿司職人がお客さんの目の前で喜ぶ顔を思い、握っているからウマい。

ただ、社会が発達していく中で生まれていくものなのでしょうがないとは思うが

便利という観点だけで選ぶのではなく、人の思いという観点を入れると

また違った世界が広がるだろう。人の思い勝るものはないのだ。

社会はどんどん便利になっていくがいつでも人の愛を忘れないでほしい。


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